祖父・唯是日出彦の生涯について、「唯是日出彦と軍用犬」というテーマで記事を書いています。その4です。
前回は、帝國軍用犬協會発行の機関誌『軍用犬』に掲載された、坂本健吉陸軍少将の追悼記事をご紹介しました。今回は、軍用犬の出征を取り上げます。
2010年だったと思いますが、水野宗徳という人が『さよなら、アルマ』という小説を発表し、NHKでドラマ化されたことがありました。軍用犬の出征を見送る飼い主の切ない心境を描いた小説やドラマです。
NHKスペシャル ドラマ さよなら、アルマ ~赤紙をもらった犬~(https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009044075_00000)
2019年、小説やドラマのモチーフになったと思われる戦中の情勢が、朝日新聞と北海道テレビ放送(HTB)の共同取材による記事で紹介されたこともあります。
帰らぬ愛犬…わかっていた 北海道、ある軍用犬の物語(https://www.asahi.com/articles/ASMCD4TVRMCDIIPE016.html)
日出彦はたびたび、軍用犬の輸送指揮官として外地へ赴きました。『軍用犬』第8巻第3号(1939〈昭和14〉年)は、「本道出征軍犬○○餘頭は…第二班は午前十時半小樽驛より、いづれも颯爽として帝犬小樽支部唯是、泉兩幹事引率の下に勇躍征途に上った」と伝えています。前述のHTBのニュース映像にある、1939年5月上旬とされる出征時の輸送責任者も日出彦だったと思われます。


日出彦には当時、満洲国における軍用犬責任者への就任の打診もあったようです(『日満一体の姿』)。もし受けていたら、終戦後に無事に帰国できたかは分かりません。私も生まれていないかもしれません。
戦後、軍用犬が軍に強制的に徴用されたかのような印象操作が行われていますが、それは歴史の真実ではありません。
犬は、市中の飼育家・訓練士による訓育後、訓練競技会(購買応募犬資格検査会を兼ねる)で、日出彦のようなプロフェッショナルの目と手による審査・検査を経て、軍が飼い主から有償で買い上げ、軍犬候補として入隊する、という手順が取られていました。それゆえ、審査・検査で合格した犬は、出征までの期間を「購買犬」と呼ばれており、軍の公式事務として「軍犬購買」が実施されています。
整理すると、
飼い犬(訓育)→軍用犬候補(審査・検査・購買)→購買犬(出征)→軍用犬(入隊)→軍犬(軍務)
という手順や手続きが踏まれており、軍が強制的に市中の犬を徴発したわけではありません。
もちろん、戦時下のことゆえ、すべてが納得して行われたわけではない可能性も否定できませんが、飼い主が各自の意思で飼育・訓練し、対価を得て軍に犬を納めたことを考えると、事象の一端だけを切り取って歴史の是非を論じることはできないのもまた真なりと思います。
その5へつづく


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