1967年日本グランドチャムピオン展プログラム1967年日本グランドチャムピオン展プログラム
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祖父・唯是日出彦の生涯について、「唯是日出彦と軍用犬」というテーマで記事を書いています。その7です。

唯是日出彦と軍用犬 その1

唯是日出彦と軍用犬 その2

唯是日出彦と軍用犬 その3

唯是日出彦と軍用犬 その4

唯是日出彦と軍用犬 その5

唯是日出彦と軍用犬 その6

前回は、戦況の悪化に連れて犬界が衰退していったことについて書きました。今回は、戦後、日出彦が犬とどう関わったかを紐解いてみましょう。

終戦後、旧軍に関係する団体や機関は、GHQにより解体されるか、あるいは自主的に解散するかします。当然、帝國軍用犬協會(KV)も活動停止から解散となりましたが、治安の悪化もあって、警備犬としてのシェパードなどの需要が高まります。それに伴い、引き揚げ者を含む国内の愛犬家たちも活動を再開します。1947(昭和22)年、KVは日本警察犬協会として再組織されます。

生来動物好きだった日出彦氏は、シェパードを早くから飼育していた。軍用犬協会の役員としてその道の権威者で、満洲への軍用犬の輸送指揮官をしたこともあり、終戦後はNKCHSAを誕生させ「犬界」でもその名を知られた。

(『月刊さっぽろ』140号)

北海道においては、終戦間もない1945(昭和20)年9月、日出彦を中心に、日本ケネルクラブ(NKC)と北海道シェパード犬登録協会(HSA)が組織されます。日出彦ら道内の愛犬家は、自由に犬と向き合える日を待ち望んでいたのです。新憲法下、平和主義の社会にあっては、軍用犬ではなく、警察犬や盲導犬の育成・訓練が主たる活動となっていきます。日出彦は審査部長に就き、戦前同様、犬の審査に励み、優秀な警察犬や盲導犬を送り出します。

1956(昭和31)年発行の『最新シェパード犬百科事典』(誠光堂新光社)では、HSAの常任審査員の筆頭に挙げられています。また、訓練士として『愛犬の友』など犬の専門誌にも寄稿しています。

最新シェパード犬百科事典
『最新シェパード犬百科事典』681ページ

審査員としての最後の活動は、1966(昭和41)年。この年の10月19日、小樽で急逝します。翌1967年の日本グランドチャムピオン展は、「故 唯是日出彦審査部長追悼」との副題で開催されます。

1967年度日本グランドチャムピオン展プログラム

1967年度日本グランドチャムピオン展プログラム
1967年度日本グランドチャムピオン展プログラム

きらめく才智と鋭い審査眼を温容に包み、慈みをその眼にたたえて、機知、冗句、諧謔、警句、皮肉を哄笑とともに会場一つぱいにまき散らし」という追悼に、日出彦の犬と人間に対する、真剣ながらもアイロニカルな一面が巧みに表現されているように思います。

その8へつづく

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唯是 一寿

唯是家第8代。1972年、北海道生まれ。早大卒。団体役員、会社役員。東京都港区在住
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By 唯是 一寿

唯是家第8代。1972年、北海道生まれ。早大卒。団体役員、会社役員。東京都港区在住

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